『オホーツク』は、オープニングからその美しい世界に引き込まれました。演技と、スクリーンに映し出される切り絵やリアルタイムで作り出される砂絵、OHPの映像に効果を与える工夫の数々、それらが一体となって流れる世界。昔切り絵が好きだったこともあり、感銘もひとしおでした。そしてそこに入ってくるバロック音楽…正直、古代のオホーツクが舞台の物語に、バロック音楽がこれほど合うとは思いませんでした。さらにそれが生演奏。録音が使われた場面もありましたが、やはり生演奏では劇場内の空気が違うのです。その後も次々と出てくる人形たちの美しさや、人形浄瑠璃の人形遣いの方3人がまるで1人のように動くさまなど、素晴らしかったです。また、たくさんの人がそれぞれ全く別の役目をこなして1つの舞台を作り上げる緊張感と一体感は、生だからこそ感じられる醍醐味と思いました。少し前に沢さん監督の子ども劇も観たのですが、その時は上演時間の2倍の長さを観たような濃さ、今回は、上演時間の2倍の長さ浸っていたいと思う世界でした。
終演後、ミーハー丸出しで沢さんにサインを頂き、肩を組んで一緒に写真も撮ってもらいました。そのがっしりした肩から、沢さんの人生が伝わってくるようでした。
ソロのパフォーマンス『コウスキィ』は、短いお芝居のコンピレーション的舞台で、ユーモラスなものから、グッとくる美しいものまで様々観られました。切り絵・影絵による「赤ずきん」や、人形を使った「人魚姫」、そして客席から出されたお題で即興で演じた「精霊流し」などは、特に美しく素敵でした。即興は、同じお題でその場でAIに作らせた動画の上映もあり、それはそれで面白く、うまくできていましたが、やはり生身の人間によるお芝居は超えられないと感じました。こちらも1時間の上演時間はあっという間に過ぎ、ぜひもう少しいろいろ観てみたかったと思いました。
沢さんの拠点であるチェコには、リュート修行でヨーロッパに渡ったばかりの頃に一度旅行で訪れました。当時住んでいた街がどうも馴染めず、現実逃避の気持ちでプラハに着いたら、現地の空気や人々の柔らかさに感動したことを覚えています。チェコは人形劇が有名と聞いて、劇場にも行ってみましたが、チェコ語の劇にみんなが爆笑する中、僕は独りポカンとするばかり。人生でそれ一回きりだった人形劇の世界でしたが、十数年の時を経て扉を開く機会が来たことは、何だか不思議で嬉しい気がします。
こんな素敵に輝く人たちや世界を目の当たりにしてしまうと、気持ちが上がることもあるけれど、逆に自己嫌悪に陥ることもある…。今回も少し沈んでしまいましたが、気を持ち直して、今日は久しぶりに、諸々の事にかまけて放置していたビウエラ製作に取り組みました。今はなかなか製作に集中できない環境ですが、やっぱり、物作りをしている時間は一番落ち着くかもしれない。次は表面板を接着して、ついにボディが出来上がるはず。

