17 October 2025

Schedule

活動予定

2025年

11月13日(木) リュート・ソロ
start 12:00
めしカフェ 一風来(札幌市豊平区豊平2条2丁目1-8/011-795-1622)
要オーダー、他投げ銭制
中島康宏(リュート)

11月24日(月祝) 詳細後日
日中午後
スカルラッティ・ホール(札幌市大通り近く)
上坂美穂子(歌)、重野久美子(リコーダー、歌)、布施久美子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、中島康宏(リュート)

12月14日(日)
詳細後日


2026年

1月21日(水) カッキー・トリオ
start 19:00
めしカフェ 一風来(札幌市豊平区豊平2条2丁目1-8)/011-795-1622
¥3,000+オーダー
柿崎さとみ(歌)、小松﨑健(ハンマーダルシマー)、中島康宏(リュート)

11 October 2025

Musica Antica a Monterone 2025

また久しぶりの投稿になりました。諸事情により、昨年末頃から音楽面含めていろいろと停滞しがちになっていたのですが、この2〜3ヶ月でだんだん物事が落ち着き、進むようになってきたので、これからまた音楽追求の人生に自分を引き戻していきたいと思っています。

さて、今や昔ですが、今年の4月末〜5月初めにかけて、リュートの師匠シグルン・リヒターが毎年イタリアで開催しているリュート講習会に参加してきました。停滞期間の真っ只中ではありましたが、次にいつ海外へ行けるか分からないこと、何より6年ぶりに師匠たちに会ってレッスンを受けたく、どうにかこうにか行ってきました。


開催場所は、イタリア中部にあるモンテローネ。人口100人にも満たないかのような、丘の上に静かにひしめく、小さな集落です。そこの建物の多くはおそらく500年ほど前のもので、足を踏み入れると、本当にタイムスリップしたかのよう。リュート初心者の頃から、僕はほぼ毎年参加していたのですが、コロナ流行前の2019年に行ったのが最後となっていました。

モンテローネ

シグルンに初めて会ったのも、この講習会でした。当時日本でリュートを始めたばかりだった僕は、ヨーロッパで学べたらなぁ…とネットを漂流しているうちに、彼女のウェブサイトに流れ着きました。イタリアの山奥でレッスンなんて、これは面白そうだ…と思って、見ず知らずの彼女に参加したい旨メールを送り、その時も2週間ぐらいの旅程で日本から訪れました。その時の体験は想像以上に深く心に残り、翌年、僕は彼女が普段暮らすドイツへ渡って、みっちり教わることにしたのです。

さて今回。
楽器持ちにとって切実な問題の飛行機は、キャセイパシフィックの千歳・ミラノ便(香港経由)でした。北海道から乗り換え1回で済む飛行機が予算内であると思わず、良かった。何よりも、リュートのような大きめの楽器を難なく機内持ち込みでき、本当に助かりました。これがなかったら行けたかどうか…!

ミラノ到着後はまっすぐ、電車でアドリア海沿岸の町リミニを目指しました。リミニは、電車が通るモンテローネ最寄りの町の1つで、町自体もとても好きですが、何より日本人の友人マサさんが勤めるホステルがあり、この辺りへ来る時は外せないのです。Sunflower Cityというその宿、リミニを旅行される際はぜひ。以前と何ら変わることなく温かく迎えてくれるマサさんと、コロナ禍を超えてホステルが続いてくれていたことが嬉しかったです。

Sunflower City Backpacker Hostel

リミニは何泊でもしたいところですが、後ろ髪を引かれながら、すぐに翌日モンテローネへ向かいました。
まず電車で南下してペーザロという町へ、そこからバスに乗り、一度乗り換えを挟んで計2時間近く揺られ、とうとう到着です。
丘の一番上にあるシグルンの家を目指して坂を登っていると、シグルンと、パートナーのニコ(リュート製作家Nico van der Waals)が迎えに出てきてくれていました。涙の再会…かと思いきや、2人を見た瞬間にこの6年間の空白はすっかり忘れ、何だかつい去年あたりも会ったような感じがしてしまって、何だかいつも通りでした。

モンテローネ入り口。左には唯一のバル。

丘の上へ

師匠宅への道。ちなみに上の回廊は現在バスルームになっているそう。

今回、僕はバスの関係で開催の3日前に着いていたので、到着翌日から特別にレッスンをしてもらいました。ソロ曲としては、カプスペルガーのトッカータ第2番を選びました。即興的な性格や強弱など、自分なりに考えたつもりでしたが、シグルンの手にかかると、そんなものをすっかり飛び越えた提案がどんどん出てきて、ほとんど別の曲のように変わるのでした。6年の間に自分の演奏が固くなっていたことが分かり、「ああ、表現というのはこんな感じだった…」と思い出すことができました。

裏庭にてコーヒーブレイク中。周囲はほぼ自然のみ。

期間を通して印象的だったのは、「もっと強く」と同じぐらい、「もっと弱く」という指摘が多かったことです。とにかく「音が小さい」と言われてしまうリュートをここまで弱く弾いていいのだろうか、と思ってしまう時もありました。でも、そこは喧騒とは無縁の場所にある、石造りの響きの良い部屋(元々の部屋は響きすぎるので、少し抑える工夫をしてあると言うほど)。リュートが弾かれていた500年前は、今より遥かに人は少なく、車など大きな音を出す機械類もなく(人の耳ももっと敏感だったのかもしれません)、まさにこのような環境が普通だったのではないか、リュートはこのような環境の基準から生まれて、このような環境で演奏されるのがベストであり、だからこそこんな表現ができるのではないか、と改めて思うのでした。そして、やっぱりいつかこんな環境を日本にも作れたら、とも改めて思いました。

今年の受講者は以前よりずっと少なく4人だけ、僕以外は全員ドイツ人でした。会えるかと期待していた常連の友人が不参加だったり、やっぱりコロナを境にいろいろ変化があったのではと思います。参加者のうち2人は、僕のドイツ遊学時からお馴染みの人で、再会できて嬉しかったです。

シグルンは最近はアンサンブル重視のようで、今回も全員でのリュート・アンサンブルが講習の中心でした。日本では、ましてやここ北海道では、コンサート1時間分の曲を5人で合奏できるような機会はなかなか無いので、良かったです。曲も、ルネサンスからモンテヴェルディのマドリガル、ヴィヴァルディのコンチェルトなどバラエティがあり、この点も良かったです。

エクスカージョン、ウルバニアのドゥカーレ宮殿へ

いつもですが、1週間の講習期間はあっという間に過ぎ去ります。食事と半日のエクスカージョン以外は、ネットもほとんど繋がらない環境で弾き籠り、気がつけばもう最終日のコンサートを迎え、終演後は打ち上げをして、今年も楽しく終了しました。

行く前は、精神・体力・金銭的に大丈夫かどうか、正直不安がとても大きかったのですが、結果としては良かったと思います。刺激を受け、久しぶりに新たなレパートリーの開拓も始められました。この6年間、どこへ行っても周りにリュート奏者がほとんどいない環境で、自分の立ち位置が分からなくなってきていましたが、そのリセットもできました。そして、会いたかった人たちに久しぶりに会うことができ、慣れ親しんだ場所をもう一度訪れることができて、良かったです。これを糧に、これからまた頑張っていきたいと思います。リュートを弾かれている方で、特にアンサンブルに興味のある方は、毎年イースターの時期辺りに開催されるこの講習会に参加されると、きっと有意義な体験になると思います。

モンテローネにて、小さくとも新たな一歩?

来月に1つ、小さなソロライブを予定しています。イタリアで受けた刺激を少しでも聴いて頂けたらと思っています。

11月13日(木) 12:00
めしカフェ 一風来(札幌市豊平区豊平2条2丁目1-8/011-795-1622)
要オーダー、他投げ銭制

23 March 2025

3月22日 Balladの世界

ここのところ投稿が止まってしまっていました。文章を書くということは結構好きなのですが、とにかく書くのが遅く、ついつい後回しにしてしまいます。この数か月は、内側に籠り、自分の音楽や自分自身と向き合いたかった時期でもありました。これからまたポツポツ書いていければと思います。

さて昨日は、日本バラッド協会主催の札幌でのコンサートに、トラッドユニットFine.さんのゲストとして出演させて頂きました。昨年夏のFine.さんとのライブにバラッド協会の方がお越しくださり、その場でぜひ来年のコンサートに出演を、とお誘い頂いたものです。正直「バラッド」というジャンルはそれまであまり意識していなかったのですが、たまたまその時演奏していた曲でそれにあたるものがあったようです。今まで何気なく弾いていたリュート曲で実はバラッドに分類されるものが多くあることも、それから知りました。

会場は、札幌軟石造りの古い倉庫を改装して作られた、北海道教育大学の施設のHUG。ヨーロッパの石造りの教会を思い出しました。その会場がほぼ満席となるほど多くの方々にお越し頂き、開演前は心臓の鼓動が自分の耳で聞こえそうなほどの緊張。とにかく演奏の土台部分を崩さず弾き通すことに集中しようと覚悟を決め、ここ暫く続いていた演奏の不調と極度の緊張の割にはベストを尽くすことができたと感じ、肩の荷が下りた気持ちでした。

ただ、僕は常々、リュート(およびアコースティック楽器全般)の演奏で一番大事なのは音色であり、そういった楽器や伝統的な歌などの「本当の」魅力を伝えるためには生音演奏しかないと考えているのですが、昨日のコンサートにおいては、そのことに少し意地になり過ぎてしまった気もします。ただ単に自分の主張を通すだけではいけない、と帰宅してから反省。その意味でも、得られるものがあった1日でした。

久しぶりの方々と何人もお会いし、話をして、元気を頂けたのも良かったです。

何か文章を書こうという時には、たいてい思うことがあり過ぎるのも遅筆の原因。今日はここまでにします。

今日の1曲
André Lislevand & Anna-Liisa Eller  'Kapsperger'
リュート界のスーパースターRolf Lislevandを父親に持つ、正真正銘のサラブレッド・ガンバ奏者André Lislevandと、エストニアのカンネル奏者Anna-Liisa Ellerの思いがけない組み合わせを、昨日偶然見つけました。エストニアは僕がこれまで一番長く暮らした海外の国であり、そんな国の楽器とのコラボとは何だか嬉しくなります。曲は、17世紀の鬼才リュート奏者Kapspergerが、自分自身の名前をタイトルにして書いたもののアレンジ。この曲にこんな要素があったのか!こんな風に弾けるのか!と目から鱗。久しぶりに衝撃と刺激を受けました。ラフな服装もいい。音楽でも何でも、みんなもっとラフに行こう…。

29 November 2024

11月25日、27日

 11月25日
一風来にて、歌の柿崎さとみさん、ハンマーダルシマーの小松﨑健さんと僕によるカッキートリオ、2回目のライブでした。
週初めでしたが、思ったより多くの方がお越しくださり感謝です。曲は初回ライブと同じくイタリアとイギリスのルネサンスを中心に。リュートの音が大きくなった、と評価を頂きました。音が小さいと言われがちなリュート、元はと言えば僕はそこに魅力を感じて始めたところもあるのですが、実際はそこそこ音の出る楽器だと思います。僕の師匠のシグルンは特に音が大きく、あるコンサートではあまりによく聞こえるので、スピーカーから出ているのかと思ったほど。ひ弱なイメージをどうにか払拭したいと取り組み続けてきたのが、ようやく少しずつ形になってきた気がしました。
カッキートリオ、ますます勢いに乗って、次回は年末12月28日、そして2月にもライブが決まりました。

11月27日
みんたるにて、マンスリーライブ第2回でした。今回のテーマはイングランドとしました。有名なダウランドをはじめ親しみやすい曲が多く、言語も英語なので抵抗感が少ない気がする地域です。僕も最初によく聴いていたリュートCDのうち一枚はスティングのダウランドだったし、練習する曲もイングランドものが多かったのですが、リュートに深入りするうちにイタリアやスペインの音楽に軸足が移っていき、イングランドのソロ曲はめっきり弾かなくなっていました。初心に帰るためにも、今月は密かにイングランド月間にしていたのです。

プログラムは、ダウランドはあまりに有名なので他の人たちをぜひご紹介したいと思い、最終的にリュート作曲家としてはダウランド以外に9人が揃いました。準備をしていて、こんなにたくさんいたんだ…と思いましたが、これでも網羅はできていません。準備しきれなかった曲もあり、今後も取り組んでいきたいと思いました。今回もたくさんの方がお越しくださり、感謝しかありません。もっと良い演奏ができるようにならなければ、とひしひし感じました。

今日の1曲
Imogen Heap  'Hide And Seek'
イングランド繋がりで。ただただマジカルな4分半。幼少期の両親の離婚経験を元に書いたと言われていますが、不幸な経験が素晴らしい芸術を産み他の人を幸せにする切なさを感じずにいられません。つい先日、詳細を忘れてしまいましたが、確かあるルネサンス時代の人の「芸術家はその才能で自分自身が癒されることはない」といった意味の言葉を目にしました。まさにそんな曲だと思います。


19 November 2024

11月17日、18日

11月17日
札幌市豊平区の豊平教会にて、中世音楽コンサートにゲスト出演させて頂きました。
何よりまず、初めて見るアルメニアの笛ドゥドゥクに興味津々。奏者の藤川さん曰く「良いリードに当たった」そうですが、とても素敵な音色でした。古く懐かしくも、モダンにも聞こえる、不思議な音。
コンサートは中世の写本の解説にかなり時間をかけながら進みましたが、終演後のアンケートでは、もっと話を聞きたいという声も多くあり、ニッチ分野でもこんなに興味を持ってくれる方がいるんだと嬉しい気持ちでした。


11月18日
一風来でのソロ演奏でした。こちらでも毎月演奏させて頂けることになり、主にランチの時間帯に、気まぐれメニューならぬ気まぐれ演奏で、ニッチ音楽を気軽に聴いて頂けるようにしたいと考え中。
今回は、ライブ・コンサートでは初めてウクレレを導入してみました。僕にとってはウクレレも大事な楽器、ライブの場で弾いてみたいとはずっと思っていたのです。やっぱりリュートの方がインパクトがあるからか、導入の効果のほどは微妙でしたが、いつか誰かが何かを感じてくれるのを期待して、また懲りずにやってみたいと思います。

今日の1曲
Jacob Collier  'Never Gonna Be Alone'
Blogothèqueの動画が出てきたので、やっと話題のJacob Collierを聴いてみたら、なるほどすごかった。音楽の星の元に生まれた人っているんだなぁ。バンドの人たちも何か全員すごい。Blogothèqueの映像もいつも素敵だなと思います。