ここのところ投稿が止まってしまっていました。文章を書くということは結構好きなのですが、とにかく書くのが遅く、ついつい後回しにしてしまいます。この数か月は、内側に籠り、自分の音楽や自分自身と向き合いたかった時期でもありました。これからまたポツポツ書いていければと思います。
さて昨日は、日本バラッド協会主催の札幌でのコンサートに、トラッドユニットFine.さんのゲストとして出演させて頂きました。昨年夏のFine.さんとのライブにバラッド協会の方がお越しくださり、その場でぜひ来年のコンサートに出演を、とお誘い頂いたものです。正直「バラッド」というジャンルはそれまであまり意識していなかったのですが、たまたまその時演奏していた曲でそれにあたるものがあったようです。今まで何気なく弾いていたリュート曲で実はバラッドに分類されるものが多くあることも、それから知りました。
会場は、札幌軟石造りの古い倉庫を改装して作られた、北海道教育大学の施設のHUG。ヨーロッパの石造りの教会を思い出しました。その会場がほぼ満席となるほど多くの方々にお越し頂き、開演前は心臓の鼓動が自分の耳で聞こえそうなほどの緊張。とにかく演奏の土台部分を崩さず弾き通すことに集中しようと覚悟を決め、ここ暫く続いていた演奏の不調と極度の緊張の割にはベストを尽くすことができたと感じ、肩の荷が下りた気持ちでした。
ただ、僕は常々、リュート(およびアコースティック楽器全般)の演奏で一番大事なのは音色であり、そういった楽器や伝統的な歌などの「本当の」魅力を伝えるためには生音演奏しかないと考えているのですが、昨日のコンサートにおいては、そのことに少し意地になり過ぎてしまった気もします。ただ単に自分の主張を通すだけではいけない、と帰宅してから反省。その意味でも、得られるものがあった1日でした。
久しぶりの方々と何人もお会いし、話をして、元気を頂けたのも良かったです。
何か文章を書こうという時には、たいてい思うことがあり過ぎるのも遅筆の原因。今日はここまでにします。
今日の1曲
André Lislevand & Anna-Liisa Eller 'Kapsperger'
リュート界のスーパースターRolf Lislevandを父親に持つ、正真正銘のサラブレッド・ガンバ奏者André Lislevandと、エストニアのカンネル奏者Anna-Liisa Ellerの思いがけない組み合わせを、昨日偶然見つけました。エストニアは僕がこれまで一番長く暮らした海外の国であり、そんな国の楽器とのコラボとは何だか嬉しくなります。曲は、17世紀の鬼才リュート奏者Kapspergerが、自分自身の名前をタイトルにして書いたもののアレンジ。この曲にこんな要素があったのか!こんな風に弾けるのか!と目から鱗。久しぶりに衝撃と刺激を受けました。ラフな服装もいい。音楽でも何でも、みんなもっとラフに行こう…。